<ケアマネジャーの知っておきたい医学知識研修会T>

◆内科疾患(消化器疾患・がん)

Q1 肺がんの症状の「させい」とはどういう状態ですか。
 
 嗄声(させい)
 声がかすれることです。声は喉頭にある声帯が閉じることによって出ます。この声帯は反回神経によって動かしています。反回神経は脳から出て、頸部を通り胸部に入ります。その後、反回して頸部に分布しています。この反回神経が肺癌で傷つくと声帯が閉じなくなり、嗄声となります。


◆在宅でのリハビリテーション

Q1 在宅のリハビリが必要と決めるのは、主治医、リハビリ士どちらですか。本人がリハビリを希望され、主治医が必要と思われて指示書を出した後、訪問リハビリを断られたのですが。
 
 手続き上の観点で、在宅リハが必要と判断するのは当然主治医です。ただし、実際問題として多くの場合は、@本人を含めた家族からリハを受けたいとの要望があり、その情報がケアマネに入って、ケアマネが主治医に指示書を出しくれるよう依頼する、Aあるいはケアマネもしくはホームヘルパー等から、リハが必要なのではないかとの判断に基づき主治医に依頼する、のケースが多いのではないかと思います。リハビリ士とは理学療法士、作業療法士のことかと思いますが、ケアマネがたてるケアプランに基づき訪問した結果、プランに記されているリハ目的と現実がかけ離れている場合、ケアマネにその旨フィードバックすることはあるかも知れませんが、その時でもあくまで意見であって、セラピストが勝手に訪問を中止するようなことはないと思います。

Q2 利用者からマッサージに対するニーズを感じますが、リハビリの中での位置づけはどうなっていますか。
 
 理学療法技術の中にマッサージという種類があることは確かです。しかし、理学療法士の行うマッサージは、あくまで一時的にせよ痛みを緩和した上で、その後利用者の自動的な運動を引き出すための前処置として行われます。受動的なマッサージだけでは、本来の意味でリハビリテーションの中に位置づけられるものではないと考えます。

Q3 80歳、女性、右片麻痺で車椅子移動の方が、通所にて個別リハ(PTと一緒に4点杖歩行訓練)を行っている。本人は屋外を歩行したいと希望しているが、通所リハ内の移動で歩行介助を依頼しても実行されない。どこがリハビリのゴールで、もし屋外歩行が無理ならば誰が判断し、誰が本人に告げるべきなのでしょうか。告げる必要はないのでしょうか。
 
 通所という言葉からして恐らく、介護保険の施設であろうと考えます。医療保険の中では、ゴール設定と予後の告知は明らかに医師の仕事になり、セラピストや看護師の考えは主治医が判断する為の情報としての位置づけになります。しかし、介護保険である通所の中での訓練となれば、どのような内容の訓練を行うかを説明するのは当然セラピストの役割と思いますが、今回のように明らかに利用者との間に乖離がある場合、はっきりと屋外訓練は行なわないと、セラピストが言うことはあまり無いのではないかと思います。その場合、例えばケアマネに現状を説明して、ケアプランの目的を確認する、あるいは指示書を頂いている主治医に報告して、主治医から本人に説明してもらう、等が考えられます。介護保険が利用者本位のサービスであって、あくまで利用者が望むプランをケアマネがたてるとするならば、逆に利用者の思いをケアマネはセラピストに伝えなければならないと考えますが、実際には難しい問題だと思います。


◆高齢者の排尿障害(尿失禁)

Q1 尿の色について、濃いほど疲れているか病気等で、透明だと健康だと聞いたことがありますが本当ですか。
 
 尿色は水分のとり方、汗の出かた、食事のとり方、ビタミン剤の摂取等で変わってきます。一概に濃いと病気等の心配があるとは言えませんが、明らかな血尿とかコーラ様のものは医療機関で調べてもらった方が安心です。

Q2 高齢の女性に出血が見られた場合は、泌尿器科と婦人科のどちらを受診すればよいですか。
 血尿であるのか、ないのかわからない場合は、どちらでもかまわないので受診させてください。


◆皮膚科疾患

Q1 ヘルペスは体調が弱った時に出ると言われていますが、感染症という事でどのような経路で感染するか教えてください。
 
 ヒトヘルペスウィルスには現在わかっているだけで、1−8までの型があります(病気とのハッキリした関係のあるものは1−6型)。
 質問にあるのは多分1型のヘルペスで、口唇などに良くでる「熱の華」などともよばれていいるものでしょう。
 日本では成人の大部分に抗体があるといわれています(90%以上)。
 欧米に比べて抗体を持つ人が多いので、感染の経路は推定ですが日本人の生活習慣と関係しているとされます。
 特に問題になるのは、小さい子どもに親や周辺の人が自分の食べているかみ砕いたものを食べさせることで感染すると推定されています。
 他に、直接キスとかが可能性が高いと思います。会話中やクシャミなどでの飛沫などでもあるかもしれませんがこのことに関しては良く分かりません。
 2型のヘルペスは主に性交渉で、直接接触することで感染することが多い。しかし、他のルートの感染(類似行為)も絶無ではないと思います。
 3型は、水痘帯状疱疹ウィルスですから水痘の場合は空気・接触感染/帯状疱疹の場合は主として接触感染が考えられます。

Q2 皮膚疾患であまり洗わない方がよいとのことでしたが、薬を塗る前に拭いたり、毎日入浴か足浴をするのはよいでしょうか。
 
 入浴・洗浄・足浴などをした方が良いとされる皮膚疾患について
1. 褥瘡
2. 疥癬
3. 伝染性膿痂疹(いわゆる「とびひ」で子どもに多い)
上記1−3の疾患では、外用療法を行う前に入浴・洗浄などが推奨されている。
しかし、褥瘡、疥癬などが施設・老々介護の家庭で発生した時には、定期的な入浴・洗浄は十分にできないことが多々あるが、外用療法はする必要がある。
洗っては良くない皮膚病
老人によく見られる
4. 皮脂欠乏性皮膚炎
5. 皮脂欠乏症(上記の前段階で赤みの無い状態)
6. 肛門周囲の洗いすぎ(ウオッシュレット症候群)
などがある。


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◆脳卒中と神経難病


Q1 独居でオリーブ橋小脳萎縮症の方を担当していますが、回復はしないとのことでしたが、訪問看護とリハビリを入れています。今後のサービスとして精神的な支えのみでよいのでしょうか、何かできることはありますか。
 
 基本的に効果的なリハビリはありません。全身的な健康管理と精神的なケアに尽きると思います。

Q2 症候性パーキンソンの方が便秘薬も処方されています。便秘という程でもなく、しばらく薬を止めてもちゃんと出ているようですが、薬を飲み続けた方がよいでしょうか。
 
 便秘の薬を続けて、パーキンソニズムの病態が変わるわけではないので、飲まなくて出ていればやめたほうが良いと思います。

Q3 脊髄小脳変性症の女性が、最近、排尿時に尿が扇型に飛び散り、内ももやトイレの床が濡れてしまうとのこと。排尿障害のひとつでしょうか。泌尿器科受診で治りますか。
 
 脊髄小脳変性症の直接の症状とは考えられませんので、泌尿器科に相談してください。なお排尿時の体位がおかしくなっていないか見ることも大事です。

Q4 ALS、脊髄小脳変性症、パーキンソン病各々の最新の専門的な研究機関や病院を教えてください。
 
 多くの大学の神経内科、脳外科(パーキンソン病の外科手術)等が、それぞれいろいろな方向性で取り組んでいます。最新といっても何を目的とするかにより全く異なります。

Q5 脊髄小脳変性症と診断された方が入所されて5年以上経ちましたが、特に症状もなく、治療もせず生活されています。この先も大きな症状もなく生活されるのでしょうか。また、症状もないのにどのような経緯でそのように診断されたのでしょうか。
 
 家族性のものは、症状の出ていない状態から遺伝子を調べ診断することは可能です。他の家族の発症年齢、症状から、その方の発症を予測することも可能です。ただ、お尋ねの方が、入所が必要な状態なら何らかの症状が出ているはずと思いますが?

Q6 脳出血の患者の多くが痛みやしびれのためにいろんな病院に行っては沢山の薬を飲んでいます。どうすることもできないのでしょうか。ケアマネとしてはどのように対応すればよいでしょうか。
 
 一般に脳卒中で中枢性の痛みが起きるのはまれです。関節や筋肉そのもの問題ではないでしょうか。それならリハビリや良肢位の保持などやれることがあると思います。ただ、もともと薬が好きな人、依存傾向のある方は難しいです。1つの医療機関からならその医師に、又複数の医療機関ならお薬手帳などで整理してもらうよう相談しては如何でしょうか。

Q7 パーキンソン病で服用されている方が、日内変動により日中でも眠気があり、本人は薬のせいで眠気があり、もう飲みたくないと言われます。主治医からも説明してもらっていますが、どのように対応すればよいでしょうか。
 
 薬のせいならば、眠気の少ない薬に変更も可能かもしれません。ただ、パーキンソン病の場合は夜の睡眠障害が原因のことも多いと思います。環境整備、そのための薬の調整など必要ですから、医師に相談してください。なお、主治医は専門医でしょうか。

Q8 パーキンソン病とパーキンソン症候群は別の病気とのことでしたが、パーキンソン病の問題症状の精神症状の中に認知症とありました。これはレビー小体型認知症でしょうか。パーキンソン病からレビー小体認知症に移行することはあるのでしょうか。
 
 パーキンソン病で認知症をきたした方ととレビー小体型認知症の異同は学会でも問題になっているくらい難しいものです。もともとレビー小体はパーキンソン病で見つけられたもので、レビー小体型認知症ではそれが脳全体に分布します。一連の病気と考える医師が多いようです。

Q9 パーキンソン病の方で身体が右に傾いてしまい、転倒すると誰かが来るまでそのまま起き上がれない状態が度々あります。パーキンソン病が悪化している訳ではないと主治医に言われるが、日によって全く動けなかったり、普通に動けたりします。治療としてはどうしようもないのでしょうか。
 
 パーキンソンの病歴が長くなると、オンオフ現象(急に動けなくなったり動けるようになったり)、ウェアリングオフ(薬の利き方がすくなくなり、時間も短くなる)が出現してきます。持続の長い薬や薬の飲み方を調整しますが、最終的には薬でもどうにもならなくなります。

Q10 パーキンソンの方が自宅トイレ内でよく転倒される。妻が膝に疾患があり、起き上がらせるのが負担である。リハビリにより自分で起き上がれるようになることは可能ですか。
 
 姿勢反射障害、姿勢保持障害は薬の調整でも直りにくい厄介な症状です。特別なリハビリもありません。専門医が薬を出しているのなら、改善は難しいかもしれませんが、主治医に症状をきちんと伝え相談してみてください。

Q11 パーキンソン病は発症してから、何年くらい生きられるのでしょうか。
 10年以上薬の量を変えなくてすむ人、薬を増量しても数年以内にほとんど寝たきりになる人など進行の速度が大きく異なり、また、合併症の有無でも異なりますので、人それぞれです。進行の遅い人では普通の人と寿命は代わらないといわれています。


◆認知症・精神疾患


Q1 利用者家族がうつのボーダーラインで2回ほど受診されましたが、その後受診していないようです。継続して受診していただくよい勧め方はありますか。
 
 患者様によって対応が難しい場合もあると思います。ただ患者様は「この苦しい状況を何とかしたい」という思いは皆様お持ちですので、その辺りに働きかけてはいかがでしょうか。

Q2 前頭側頭型認知症も異常たんぱく質の増加が原因なのでしょうか。
 
 そう考えられています。

Q3 脳梗塞後、認知症を発症している方で、退院後4/Wデイサービスに通っています。アウトドア派の方だったので、作業療法中心のデイはやりがいがなさそうです。デイを変えるべきか、認知症にとって環境変化はよくないので変えないべきか悩んでいます。
 
 個別的にその方に少しでも合った作業療法として、好む活動を取り入れた活動を入れられる所があれば理想ですが、また、近くでとなると捜すのが大変ですね。もし、そのような所があれば、変わった時は一時的に混乱されるでしょうが、長期的な視点では良いのではないでしょうか。

Q4 うつで自殺願望があり、医師や周りの人から精神科の受診・入院を勧められ、精神科を受診しましたが入院にはならず、その後自殺された方がいました。入院はそんなに難しいものなのでしょうか。入院にならなかった場合の在宅での関わり方を教えてください。
 
 自殺念慮のあるうつ病患者様の入院の判断については難しいケースがあるのも事実です。
 「死にたい」と言われた時には、否定せず、気持ちを聞き出す事、休養睡眠の援助、死なない事の約束などが有効と言われています。

Q5 脳萎縮してCTで空洞に見える部分は骨髄液等で満たされているのでしょうか。
 
 脳脊髄液が流れています。

Q6 霊感が強く、霊が見えるという人で考えられる病気は何でしょうか。何科で診察してもらえばよいでしょうか。
 
 精神科でいいと思います。
 認知症ではないという前提なので、何らかの脳の器質的要因、遅発性パラフレニーや統合失調症などの精神科疾患も考えられます。
 しかし、全く正常に生活される方でこのような訴えのある方もあり、診断に苦慮する場合もあります。

Q7 パーキンソン、うつ病、レビー小体認知症等は遺伝と関係があるのでしょうか。
 
 パーキンソン病の一部には強い遺伝傾向がある事が知られています。それ以外は、孤発例も多く、うつ病、レビー小体型認知症と遺伝については十分は解明はされていません。

Q8 梗塞により感情の分野が阻害され、問題行動に至ってしまう利用者がいます。声かけ、薬物療法等検討していますが、老健では限界があり、スタッフも掻きむしりによりけがをしている状況です。対応はやはりメンタル面になるのでしょうか。
 
 精神ケアは必要で、それだけで難しければ、薬物療法も合わせざるを得ないと考えます。

Q9 高次脳機能障害と認知症の相違点を教えてください。
 
 最近、行政が定義している高次脳機能障害は、身体の障害がなかったり、軽度にもかかわらず記憶障害、注意障害、遂行機能障害などの症状があって、日常生活にうまく適応できない事を定義しており、認知症と区別しています。医学的には認知症の症状としても高次脳機能障害は多くの頻度で出現する事が知られています。

Q10 認知症の患者がアリセプトを服用開始した直後に、動脈瘤で突然亡くなられました。因果関係はあるのでしょうか。
 
 ありません。

Q11 認知症の「抑うつ」と「うつ」はどう違うのですか。
 
 うつ病(大うつ病)は、その診断基準をみたす事で診断します。抑うつは一般的な状態ですので、他の病気でも認めます。
 認知症の方が抑うつ気分を呈した場合、さらにうつ病と診断するには基準をみたすかどうかで決まります。

Q12 認知症の方はだいたいアリセプトを服用しています。服用により状態が良くなることはありますか。また、どのように良くなるのですか。
 
 著効例では一時的に認知機能が多少改善する、意欲が出る等があります。効果がはっきりわからなくても進行を少し遅らせる事ができます。ただし、効かない方もいます。

Q13 不安なのか、認知症なのか、1日に何度も連絡してこられる方がいます。本人は電話したことはあまり覚えていないようですが、本当に忘れているのかどうか判りません。どのように対応し、どのような所を受診してもらえばよいでしょうか。
 
 いわゆる神経症なのか認知症なのかそれだけではわからないので、精神科か心療内科を受診してはいかがでしょうか。

Q14 レビー小体認知症の方に幻視が頻回に見られます。その時、どのように対応すべきでしょうか。話をあわせた方がよいのでしょうか。
 
 本人は現実に見えていると思います。頭ごなしに否定はせず、「私には見えないのですが、あなたには見えるのですね」などと対応されるのはいかがでしょうか。内容を聞く事もかまいませんが、「私も見えます」とは言わない方が良いと思います。

Q15 妄想により近隣にも迷惑をかけ、本人も不安を持っておられる方がいます。お薬で改善されるのでしょうか。
 
 妄想内容と疾患にもよると思います。精神科、心療内科を受診して相談してください。

Q16 帰宅願望が強く、暴言があり、医師に処方していただいた頓服も出ていますが、帰宅願望が始まると「お前らの薬なんか飲むか。毒が入っている。」と言って全く服用できません。職員が構うほど激情するので構わないようにすると、あきらめて部屋に閉じこもります。どのように対応していけばよいでしょうか。
 
 その方その方で対応が変わる為、難しい質問です。安心してすごせる為のケアをぜひ皆様で検討してください。どうしても難しい場合は、薬物療法、興奮される前に投薬する等の方法もありますが、また担当医と相談してください。 

Q17 認知症の家族の会というものが近くにありますか。
 
 社団法人認知症の人と家族の会 があります。
 兵庫県支部
    〒651-1102 神戸市北区山田町下谷上字中一里山14-1
 TEL 078-741-7707 FAX 078-741-7707 (月・木10時〜17時)

<高齢者介護施設職員の知っておきたい医学知識研修会>

◆脳血管疾患(認知症を含む)


Q1 ピック病の方へのアリセプトの使用は妥当なものでしょうか。日中も落ち着きがなく興奮されています。
 
 アリセプトが保険で認められているのは、アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)のみですが、レビー小体型認知症ではアルツハイマー病よりもよく効くことが知られています。ピック病では適応もなく、効果があるとの報告もありません。

Q2 意識障害とはどういう状態をいうのですか。目がうつろな利用者がいますが、それも意識障害というのでしょうか。
 
 扱う領域により定義が異なります。認知症や精神遅滞でボ-としている状態は一般には意識障害とは言いません。何らかの可逆性の脳障害で、脳機能が全般的に活動が低下する状態を指しますが、区別しにくい場合もあります。

Q3 認知症の種別の特徴を教えていただきましたが、レビー小体は穏やかな精神状態、ピック病は行動的と考えてよいのでしょうか。また、混在することはありますか。さらに、精神疾患との混在もありえますか。
 
 レビー小体でも幻覚妄想があり、穏やかとは限らず、また、ピック病が行動的というわけでもありません。よしあしの判断ができず、ピック病ではとんでもない行動をしてしまうことが割りと多いということです。

Q4 さっきまで笑っていたのに、突然無表情になったり、無力になる事があるのは、うつ症状か認知症の症状なのでしょうか。
 少なくともうつとはいい難いと思います。感情の起伏が激しいのか様子を見ないとわかりません。

Q5 レビー小体型認知症は、他の認知症より早期に寝たきりになりやすいと聞いた事がありますが、本当ですか。
 
 他の認知症より、転倒骨折が明らかに多いという点では寝たきりになりやすいと思いますが、人それぞれです。一般的にアルツハイマー病はレビー小体型認知症に比べ経過が長いです。

Q6 レビー小体型認知症で、大声、暴力があり、現在薬の調整を行っているが、改善の見られない方がいます。どのように対応すべきでしょうか。
 ケアや環境、他の疾患や薬を調整してもダメなら、一般に@アリセプトの少量A抑肝散B少量の非定型抗精神病薬の順ですが、精神科医に相談し、入院治療も必要かもしれません。


◆高齢者介護施設におけるリハビリテーション


Q1 皮膚系の萎縮とはどういうことですか。
 
 皮膚も、関節同様動かしておかなければ萎縮して伸張性を失い、結果的に関節の動きを妨げる原因になるということです。皮膚が萎縮してしまった場合には、皮膚だけを伸張した上で、関節の動きを引き出す方法もあります。

Q2 施設での生活リハでは、ほとんど脚力のない人への歩行を強いるなど、あまり意味を感じませんが、どれほどの効果があるのでしょうか。
 
 出来れば、脚力といっても具体的にどこの筋肉がどの程度弱いのかを評価したうえで、個々の筋肉を強化した後、歩行訓練を行うことが望ましいと思いますが、専門のスタッフがいない場合、歩行可能な方には歩いていただくことが、最も脚力を向上させることになりますし、また筋力だけでなく心肺機能といった内臓にも好影響が考えられます。また、歩行することで、モティベーションの向上も期待できますので、決して無駄ではないと思います。もちろん、全身状態等にも注意しておかなければ、時にオーバーワークになってしまう危険性は当然あるので、本人が疲労を訴えているのであれば無理やり歩かすのではなく、慎重に対応すべきと思います。


◆施設介護における薬の基礎知識


Q1 血圧降下剤にはグレープフルーツは厳禁とのことでしたが、みかん、オレンジなどの柑橘類やキウイはどうですか。朝食後に服薬の場合、昼、夕食後も禁止ですか。
 
 血圧降下剤の一部の「カルシウム拮抗剤」と呼ばれる薬と、グレープフルーツジュースの併用は、薬の分解が妨げられ、薬の作用が強く出る恐れがあるため、避けるべきです。グレープフルーツジュースの効果は3、4日続くと言われており、時間をずらしても同様な作用が出ますので、グレープフルーツジュースは禁止するのが無難でしょう。
 どうしてもグレープフルーツジュースが飲みたい場合は、医師に他の血圧降下剤に変更してもらって下さい。
 ところで、他の柑橘類については、このような作用が全くないか、あってもごく弱いので問題ありません。

Q2 錠剤も散剤も飲みにくく、オブラートも難しい人の場合、お湯で少し溶かしたりするのは良くないのでしょうか。
 
 錠剤、カプセル剤、顆粒剤の中には、胃の中では溶けず、腸に入って溶けるように工夫された薬や、苦みを抑えるため、コーティングが施されている薬などがあります。それらの薬は、お湯で溶かすと効果がなくなったり、副作用が出たり、強い苦みが出たりするので避けて下さい。
 したがって薬をお湯で溶かしてよいかどうかは、事前に薬剤師にご相談下さい。

Q3 薬の飲み忘れと、飲み過ぎはどちらが危険でしょうか。飲み忘れてはいけない薬、飲み過ぎてはいけない薬の代表的な薬を教えてください。
 
 基本的に、薬は医師に言われた飲み方をきちんと守らないと、飲みすぎた場合は副作用が出る恐れが、飲み忘れた場合は薬が効かなくなる恐れがあります。それは、全ての薬において同様ですので、代表的なものはありません。
 ですが、どうしても薬を増減したいという希望があれば、個別に医師、薬剤師にご相談下さい。

Q4 風邪薬と痛み止めではけいれんが出る場合があるとのことでしたが、頓服の解熱剤が出ている場合一緒に服用してはいけないのでしょうか。
 
 風邪の時によく出される「菌を殺す薬」のうち、「ニューキノロン系抗菌剤」と呼ばれる薬と、解熱鎮痛剤を併用すると、頻度はそれほど多くはないものの、けいれんを起こす恐れがあります。
 特に、過去にけいれんの経験がある方には要注意です。
 ですので、けいれんの経験がない方が頓服で解熱剤を飲むくらいでしたら、まず大丈夫と思いますが、一応注意はしておいた方が良いでしょう。

Q5 緑内障の目薬には気管支を狭める作用があるので、呼吸系の疾患の方には使用しないとのことですが、市販の目薬やアレルギー治療の目薬にも入っているのでしょうか。
 
 一部の緑内障の目薬の成分には、気道を狭める作用のあるものがあるので、気管支喘息等、重い呼吸器疾患のある患者さんにはさしてはいけません。緑内障以外の目薬でも、何滴もさしたりすると、それが体内に入りやすくなり、より危険性を増すので注意が必要です。目薬は一滴入れれば十分である事をご理解下さい。
 市販の目薬や、アレルギーの目薬には、このような成分は入っていませんのでご安心下さい。


◆高齢者介護施設で口腔ケアに取り組むために


Q1 歯磨き時のうがいでむせる方がおられます。何か良い方法はありますか。
 
 自分でみがけない方の場合:歯磨き粉は使用せず、うがいが必要のない状態にする。吸引器の使用や、吸引器につく歯ブラシなどの利用。ガーゼで歯ブラシについた歯の汚れを落としながら清掃する。清掃後にどうしても水分で流したいならば、側臥位にして、上の口角から水を流し、下で受ける。
自分でみがける人の場合:歯磨き粉は使用しない。がらがらうがいはむせやすいので、ぶくぶくうがいを顎を引いた姿勢でしてもらう。うがいは絶対必要というわけではないので、口腔ケア用ぬれティッシュ等でぬぐうのもよい。
もし、うがいはできなくとも、誤飲せずに飲み込めるなら、水道水でうがいをしてもらい、飲み込むのもよい。吸引器につく歯ブラシをご自分で使ってもらうのも、一方法と思われる。

Q2 デイサービスでは昼食後のみの口腔ケアとなり、週1回しか来られない方もいます。週1回だけでも、気をつけるべきポイントがあれば教えてください。
 
@汚れの確認→特定の部分が汚れているようなら、そこを意識させてみがくようにする。もし、本人がある程度できるならば、見守りと指導が主となる。
A本人がみがけないなら、汚れの状況と注意点を介護者に伝えられるように観察する。
Bデイでは、歯ブラシのあたりやすい部分は避けて、あたりにくい歯の間などを中心に清掃する。
C舌の動きが普通であれば、舌側はそれで清掃されるので、舌の動きを引き出す事も必要になるかもしれない。
D歯科衛生士の居宅療養管理指導などを利用してもらい、週のうちで少しでも清掃する機会が多くなるようにケアプランを組んでもらう。
E他の日に十分みがけないならば、うがいだけでもしてもらうようにする。