<介護現場で知っておきたい医学知識研修会part1>

◆整形外科疾患

Q1 40歳位で脊柱管狭窄症を発症し、現在60歳で介護保険を申請中の方が居られますが、どのようなリハビリが可能でしょうか。
 
 現在の症状やADLについて記載がありませんので、一言ではお答えしにくいのですが、発症後20年を経過しているとの事からリハビリについて言えば、やはり下肢筋力の維持かできれば強化につながるリハビリが必要かと思います。ウォーキングは間欠性跛行が代表的な症状の一つであることから無理だと思いますので、臥床の四頭筋訓練ぐらいが良いかと思います。
 脊柱管狭窄症は比較的高齢の方にみられる疾患ですので、内科的疾患を合併していることも多く、単なる腰痛や腰椎椎間板ヘルニアのような腰痛体操は不適当です。しかしながらどんどん悪化するケースは少なく、自然に症状が軽減することもあるので、あせらず見守るのが良いと思います。


Q2 70歳代の方で股関節変形症で痛みの訴えが強いのですが、統合失調症があり、術後に安静が保持できないのであれば、手術はできないと言われました。精神科併設の病院なら可能性はあると聞きましたが、実際、精神疾患のある方の手術例は少ないのでしょうか。
 
 まず地域の基幹病院に聞きましたが、そこには精神科はありませんが、基本的には入院手術は責任を持って看護が出来ない可能性が大きくお断りしているとのことでした。
 次に精神科も併設している総合病院でお聞きしましたが、入院の設備が無いので病室の有る総合病院に紹介させていただいているとのことでした。
 最後に精神科の病棟も有る市内最大の総合病院に問い合わせ、そこの整形外科の先生よりご回答いただきました。以下はその先生による回答です。要約しますと「精神疾患のある方の手術例は少ないが、あるのはあります。70歳代の方の手術になると人工股関節全置換術になると思います。この手術の場合、術後のリハビリが非常に重要であり術後に脱臼を生じるという合併症があります。このあたりの点が精神疾患のある患者さんの場合問題になってきます。手術後の安静やリハビリに関して理解し、指示に従えるような方は手術可能かもしれませんが、それができない方は手術をお断りしています。」とのことでした。


◆嚥下障害・耳鼻科疾患

Q1 発熱が誤嚥によるものであれば、どういう対処をすればよいでしょうか。
 
 まず実際に誤嚥が起こっているかどうか、また肺炎などを起こしていないかどうかを診断する必要があると思います。誤嚥の程度が高度な場合や肺炎を起こしている場合には安易に食材を変更することは状態の改善につながらず、状態の悪化を引き起こす恐れがあります。はじめに述べたようにまず専門医を受診することを勧めます。


Q2 寒天で嚥下をしやすい食物を作りたいのですが、どのくらいの固さがよいのでしょうか。
 
 寒天で嚥下食を作るということですが、ぜりーのようなものを作ることを考えられていると思います。
 まず寒天ですが、これは海藻から作られており、やや固くて口の中では溶けにくく、噛むとばらばらになるという特徴があります。嚥下には口の中で噛んでもばらけにくく、唾液と混ざってひと固まりになるような性状をもつような食物が良いとされます。
 寒天とは異なりますが、嚥下食としてよく用いられるのはゼラチンです。ゼラチンは口の中で溶けやすく、柔らかくばらばらになりにくいという特徴があります。このため嚥下食を作るにはゼラチンの方がより適していると思います。
 固さに関してですが、嚥下障害は患者様によりその程度はまちまちです。このためやはり、まずばらけてしまいにくいような固さのものから始めてみるのが良いと思います。


Q3 認知症のためしっかり咀嚼できないのか飲み込んでしまいがちな方が居られます。その上、口いっぱいに入れてしまうので、どのように指導すればよいでしょうか。
 
 十分に咀嚼された食物塊が最もスムーズに飲み込むことができるので、十分に咀嚼しなければうまく飲み込めなかったり、誤嚥を生じてしまう可能性が考えられます。やはり、一度に口の中に入れる食物の量を入れすぎないように指導することと、食塊形成をうながす指導をする必要があると思われます。


Q4 神戸市内で往診耳鼻科は何件くらいあるのでしょうか。ネットなどの検索システムはあるのでしょうか。また、補聴器の訪問診療はしていただけるのでしょうか。
 
 具体的な人数は述べられませんが、往診依頼を受ける耳鼻咽喉科医は神戸市内にある程度の数がいると思われます。ネットでの検索システムはありませんが、電話帳や医院のホームページを参考にされるのも良いかと思われますが、実際には医院に電話をして確認されるのが良いと思います。
 補聴器の訪問診療ですが、往診によりまず患者様がどのような状態であるかを診察する必要があります。耳あかが詰まっていたり、中耳炎があったりすることも珍しくありません。訪問では実際の聴力の状態を詳しく調べることが難しいこともありますが、補聴器が必要であると考えられれば、その後の適切な対応をとられる先生も多くおられると思います。


Q5 飲み込むタイミングを見つけられない感じで、ずっと咀嚼し続ける方の嚥下のリハビリはどんなものがありますか。
 
 認知障害の有無も問題となることがありますが、ここには記載がないため的確にお答えするのは難しいです。実際に咀嚼をがんばってするが、嚥下はうまく出来ないということは嚥下障害のある方では珍しいことではありません。この方が嚥下障害があるかどうか、また嚥下障害があればその原因がどこにあるかなどを、まず診察により評価されることが大切だと思われます。


Q6 残留を減らす工夫として、横向き嚥下は動きが悪い方を下に、ただ、寝たきりの方は健側下側臥位という点について詳しく教えてください。
 
 このような嚥下の直接訓練は一側性の咽頭の通過が不良な方にすすめられる方法です。
 まず検査で咽頭の状態をチェックする必要があります。一側の咽頭の通過障害が確認された場合に行う嚥下訓練として、横向き嚥下とは頸部を約45°通過障害がある側に回旋させることにより食物を通過しやすい側に誘導するのを目的とします。体の不自由な方で頸部の回旋が難しい方ではリクライニングの姿勢にし、通過の良い咽頭側を下に完全側臥位をとり嚥下を行う訓練が一側嚥下です。この方法がここで質問されている健側下側臥位に当たると思います。この方法でも頸部の回旋が可能であれば、通過の良い咽頭側と反対側に頸部を回旋させた方が良いとされます。


Q7 胃ろうを造設したが、状態が改善され経口摂取されている方がいますが、一旦抜去した後に再度嚥下困難になった場合、すぐにまた胃ろうを造設することは可能ですか。リスク等も教えてください。
 
 胃ろうは抜去すると自然に閉鎖するとのことです。嚥下障害が再燃し、再度胃ろうを造設する必要が生じた場合には、前回作成した近くに作成することになるため技術的にも難しい可能性が考えられます。また再手術を受けるという問題からも嚥下障害が再燃する可能性があるならば、現在の胃ろうは残しておいた方が良いと思われます。


◆皮膚科疾患

Q1 足の裏のウオノメの良い治療法はありますか。
 
 ベストな方法かどうかは不明ですが、一般の皮膚科で多く行われている治療法を説明します。
 ウオノメは足の骨が形成するアーチが加齢で変形し、本来靴などと強く接触することのない骨の突出した部位の表面の皮膚と靴との間の皮膚にできる過角化局面(普通より過剰に角質が増殖した状態)です。足底から見ると台地のように外側(靴の方)にはみ出すような状態になります。立ち上がると皮膚を圧迫し、神経などを刺激します。 だから、この過角化局面を取り除くことが治療方法です。
 多くはスピール膏(サリチル酸という強酸)を絆創膏のようなものにしたものを患部より小さめに貼付し、過角化局面を柔らかくした後、ハサミなど(色々人によって使用する器具の好みがあるので)で切除します。出来るだけ深く取り除くことが良いのですが、出血とか痛みなどがあり難しいことが多いのです(サリチル酸溶液もある)。
 また、ウオノメ削り器というのがあります。イメージとしてはジャガイモの皮むきを医療機器にしたようなものです。堅くなったところを出血するかどうか、できるだけ際まで削るのがコツです。国産/外国製がありますが、私の好みではヘンケル社のものが良いように思います。
 他に、凍結療法がありますが、医院でしますが水疱ができたり潰瘍が出来たりすることもあります。その上、保険診療の適応にならないので注意が必要です。


Q2 褥瘡について、薬などをつけずに、滲出液などを除去し、ラップ等を貼っておくだけの治療をよく目にしますが、どのようなしくみで治癒するのでしょうか。
 
 ラップ療法については毀誉褒貶があり、評価が難しいのです。
 旧来の創傷治療は消毒・乾燥でした。しかし、湿潤した環境で創傷を治療すると良い結果を招くことがWinterらの実験で証明され概念が変わりました。3の質問と重なるのですが、消毒・乾燥よりも生体の自然治癒を促進するとされています。
 そこで、問題があります。一般にラップ療法と言われている治療方法は現在の保険診療では認められていないことです。また、日本褥瘡学会の標準的な治療法の中には含まれていません。これらのことより、ここでお答えするのは、難しいといえます。
 それと、群馬大学皮膚科の安倍正敏先生によると、ラップと言っても性質の異なる6種類のラップがあるとのことです。また、ラップは製品としては医療器材でないので、ラップ療法で起こった事故は指導した介護・医療従事者(医師・看護士)の自己責任です。 個人的には、湿潤療法の優れた器材は現在でも、たくさんあるので敢えて使用するのはと考えています。


Q3 デュオアクティブの使用法ですが、どういう状態の時に使用すればよいですか。褥瘡の段階での使用はありますか。
 
 褥瘡の段階というのを分類という風に解釈させていただきます。
 褥瘡の分類には大きく分けて、深さによる分類と時間軸で黒・黄・赤・白色期という色の分類があります。デュオアクティブですが、保険上は皮膚欠損用創傷被覆剤で、しかも皮下組織至る創傷用になります。成分的にはハイドロコロイドですから、肉芽形成期(赤色期)が適応になると思います。
 褥瘡の治療で難しいのは、深さ、時間軸が必ずしも一様でないことで、この周辺で使用するのが良いのではないでしょうか?


Q4 類天疱瘡の治療法と介護職としての対応のしかたがあれば教えてください。
 
 個人的な考えですが、ごく簡単に副腎皮質ホルモンの外用や、ニコチン酸アミドゾンネ、塩酸ミノサイクリンの内服などで治るものと、これらの治療に抵抗するものがあるようです。治療に抵抗するグループでは、かなり大量の副腎皮質ホルモンの内服療法を行う必要があり、これは入院以外不可能です。
 介護職の対応ということですが、水疱の成分は体液特に蛋白質を多量に含んでいるため、長期・広範囲の熱傷などと同様にする必要があると思います。
 低蛋白血症に備えるとともに、水疱の破れた部分からの細菌感染症が問題になってくることが多いと思われます。類天疱瘡の診断をされた先生はかなり経験豊富な先生と思われますので、主治医の指示に従いながら皮疹部の周辺に急激な赤みの出現がないかとか膿をもったところがないかを観察し、異常がでたら直ぐに連絡することが大事だと思います。


◆高齢者の眼科疾患

Q1 緑内障と白内障を併発されている方の手術の予後はよいのでしょうか。
 
 白内障は、手術で混濁した水晶体を摘出することで視力を改善することができます。
 緑内障は、視神経線維が障害され視野の感度が低下している疾患で、手術により眼圧を下げ視野障害の進行を遅らせる努力をしますが、それにより視力を改善させることはできません。つまり、併発されている方でも、白内障については改善を期待できますが、緑内障については現状維持を目指すことになります。


Q2 緑内障でほとんど光も判らない方もずっと眼科受診を続けた方がよいのでしょうか。
 
 すでにほとんど光もわからない場合は、改善の期待がないので受診を続ける意味はなくなります。ただし、眼圧上昇のために眼痛の自覚がある場合は、下降させる必要がありますので受診してください。


Q3 黄色ぶどう球の結膜炎とアデノウイルスによる流行性角結膜炎の見分け方を教えてください。
 
 黄色ぶどう球菌による細菌性結膜炎では、黄色い眼脂が出て、充血、流涙などが起こります。結膜のろ胞は通常見られません。
 流行性角結膜炎では、黄色い眼脂はみられず、眼瞼腫脹、結膜充血、流涙などの一般的結膜炎症状に加えて、耳前リンパ腺の腫脹と圧痛、急性ろ胞性結膜炎症状がみられます。結膜の炎症に加え、角膜にも炎症が起きるため、異物感の自覚が強く、角膜に傷や混濁が発生して視力が低下することがあります。この場合も点眼加療により視力はほとんどの場合、元に戻すことができます。


Q4 レーシック手術をした方が白内障になった場合は、白内障の手術をしたら視力はどうなるのですか。
 
 白内障手術の際に水晶体を摘出し眼内レンズを挿入するため、屈折力が大きく変わり、レーシック手術を受けた意味はなくなります。新たな屈折状態に対して眼鏡を使用することになります。つまり50歳台以降ではあまりレーシック手術をおすすめできません。(白内障が始まっていく世代に近づきますので) また、手術の際に挿入する眼内レンズの度数の計測が、レーシック手術後の目では難しくなりますので、手術前の状態の記録を本人が知っておく必要があります。度数は眼軸の長さから計算されるためです。


<介護現場で知っておきたい医学知識研修会part2>

◆脳卒中と神経難病


Q1 パーキンソン病の症状について、オンオフ現象になった場合、介護者としてどのように接すればよいでしょうか。
 
 抗パーキンソン病薬の服用に無関係に急激に症状が悪くなったり良くなったりするオンオフ現象には、残念ながらあまり良い対策はありません。常に誰かが見守ってあげるか、ボタン一つで誰かが来てくれる様にするしかありません。ただ、オンオフに見えても、実際はきちんと薬を服用していなかったり、食事・睡眠など生活習慣が乱れていたりして薬の効果が出ていないこともありますので、そのあたりをしっかり押さえ、神経内科医に相談してください。


Q2 進行性核上性麻痺の方が夜間頻尿(尿量多い)で困られていますが、夜間の尿量を少なくする方法はあるのでしょうか。また、すくみ足が度々見られ、足を引くとよいとお聞きしましたが、具体的にはどのようなことでしょうか。
 
 進行性核上性麻痺の直接の症状として夜間頻尿は通常ないことなので、泌尿器科の先生に相談するのが大事です。夜間の尿量を少なくする一般的な方法は、塩分制限、お茶やコーヒーなどの制限、就寝前3時間程度の飲水制限、また、不眠症に夜間頻尿は伴いやすいので、眠剤が効果があるときもあります。前立腺肥大や腎障害の多尿期ということもありますので、まずは主治医に相談してください。すくみ足の場合、両足が揃うことがほとんどです。時に、片足を少し(半歩)下げると、その足が前に出やすくなることがありますので試してください。ただ理解力の問題なのか、それも難しいのか、足を半歩さげるのも、できる方はむしろ少ないようです。


◆認知症・精神疾患


Q1 パーキンソン、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、それぞれどのくらい遺伝性があるのでしょうか。
 
 アルツハイマー病をはじめとする変性疾患と遺伝についてはさまざまな研究がすすんでおり、ある特定の遺伝子、もしくは突然変異の遺伝子の原因等わかっていることがありますが、親がその病気であるから子供がどのくらい危険性が高いのかというデータはありません。また、家族にまったく発生していないのに、いわゆる「孤発例」が多いこともあります。家族性にかなり高い確率で発生している家系で無い限り心配することは無いと思います。


Q2 もともとの性格と精神症状の出現としての見極めはどうすればよいでしょうか。
 
 以前の状態をよく知る家族からの情報の収集が大切です。また、高齢になると元の性格がさらに強調される場合等もあるため(病気とは限らず)それも考えておく必要があります。


Q3 統合失調症の方で、閉じこもり、通院拒否、介護拒否があります。特定のヘルパーが入れることもありますが、今後どのように支援していけばよいでしょうか。
 
 本人が拒否している場合は介入が難しいですよね。担当医と相談するのが一番よいと思います。精神症状がそれなりに安定している場合と、本人の生活に著しい問題がある場合とでは対応が異なってきます。


Q4 うつ病の方(70歳要介護2女性)の援助者として、注意すべき点等がありましたら、教えてください。
 
 一般的なうつの対応を提示します。
○患者さんの苦しみを受け止め、共感的な態度で話を聞く
  叱咤激励したり、考えを論理的に直そうとしない。
○病気について説明
  「うつ病」であり、「怠け」ではない。うつ病は必ず治る脳の一時的な不調である。
○治療の方針と方法、薬剤が必要である理由やその副作用に ついて説明
  薬効は1〜2週間を要するので、効果がないからといって服用を中断しないよう、また、治療中は一進一退であり、時には悪化することがあるが悲観しないようにあらかじめ告げる。
○休養を勧める
  休養できる環境も整える。
○「自殺しない」ことを約束させる
  うつ病は必ず治る病気なので、決して自殺しないよう約束させる。
○治療が終了するまでは、人生の重要な決断をしないようにする (退職、離婚、遺言など)
○患者さんは怠けているのではないことを説明
  うつ病という脳の病気であり、医学的な治療が必要であることを伝える。
○励まさない
  叱咤激励は、たとえ善意であっても患者さんを追いつめ、最悪の場合自殺に追い込むことがある。
○無理に気晴らしをさせようとしない
  むやみに旅行に誘ったり、友人を呼んだりしない。
○家族はゆったり落ち着いて、受け身で待つ姿勢が大切
  必ずよくなると信じて待つ。
○とにかく休養させる
  患者さんがこれまでがんばってきたことを評価したうえで、今は休養をとるよう勧める。


Q5 せん妄はBPSDに分類されないのでしょうか。
 
 BPSDは「認知症に伴う・・・」となっています。せん妄は「意識障害に伴う・・・」と定義されていますね。つまり、認知症でなくても発生することがあり、BPSDとは違うということになります。せん妄は身体疾患や薬剤に起因するものが多く、医学的精査も必要であるため、BPSDとは先ず行うことが違ってきますので注意が必要です。


Q6 認知症と高次脳機能障害の関係性がよくわかりません。イメージとして、高次脳機能障害の一部として認知症があるのか、全く別の物なのか、両者が重なる部分があるのか教えてください。
 
 医学的に高次脳機能障害に認知症は含まれます。しかし、最近の厚労省などの「高次脳機能障害」の取り扱いについては、外傷や脳卒中などである認知機能のみに障害があり、進行性のものを含まないことを定義しているようです。アルツハイマーや多発性脳梗塞による認知症などは狭義の高次脳機能障害にはあたらないと考えたほうがいいと思います。


Q7 介護予防のチェックリストにある、うつ傾向を知る質問事項が直接的なので、よい聞き方や言い換えがあれば教えてください。
 
 質問項目のうち、聞きにくいのは「自分が役に立つ人間ではないと思える」の項目でしょうか?
 「自分がちっぽけな人間と思ってますか?」とか言いまわすこともできると思います。


◆高齢者のリハビリテーション


Q1 グループホームでは生活リハビリしか使えません。大腿骨頸部骨折後や骨盤骨折後の歩行訓練で、今は手引き・伝い歩きを支援していますが、手引きだと動線の先に人がいて気になってしまいます。どのようなリハビリが一番適当でしょうか。
 
 グループホーム入所者として考えられるのは、軽度の認知症例であろうと仮定すると、基本的には一般的な大腿骨頸部骨折後のリハビリテーションプログラムと変わりありません。
 歩行練習は有効なプログラムと考えられますが、歩行をする前に大腿前面の筋(大腿四頭筋)や側方の筋(中殿筋)あるいは後方の筋(大殿筋)などを強化する目的で、仰向けの状態で両足を広げたり閉じたりする運動や、交互に足を上げ下げする運動を行う方が歩行の準備としていいのではないでしょうか。もし、上記のような練習が理解しにくいのであれば、歩行練習を行うことが、最も利用者にとってわかりやすい方法と思います。当然、痛みが生じる危険性があるので、その点は注意して行ってください。
 骨盤骨折については、部位や術式によって大きく変わる可能性がありますので、一概にはお答えできません。


◆高齢者介護現場における薬剤知識


Q1 毎日朝、骨の薬を飲み、30分後に糖尿の薬を飲み、30分後に朝食を摂っておられる方がいます。二つの薬を同時に飲んではいけないのでしょうか。
 
 起床時に飲む骨の薬は、飲んでから30分は、食事や他の薬を飲むことを禁じられています。これは、食事や他の薬の影響で、骨の薬の吸収が悪くなるのを防ぐためです。そのため、ご質問にあるケースでは、面倒ではありますが、今の飲み方が最適であると思われます。ただし、そのために飲み忘れが頻繁に起こるのであれば、薬の種類や飲み方を変える必要がありますので、医師、薬剤師にご相談下さい。


Q2 P13下段右下、抗凝血剤+納豆やクロレラ→効果増大 先生の説明では減少でしたが、どちらが正しいですか。
 
 申し訳ありません。資料が間違っておりました。抗凝血剤(ワーファリン)+納豆やクロレラ→効果減少です。


Q3 毎食ラキソベロンを20滴飲まれている方がおられますが、20滴飲まれても毎日排便があるわけでもなく、もっとよい方法はないでしょうか。
 
 ラキソベロンの量をもっと増やす方法もありますが、他の下剤を併用する方が効果的だと思われます。ただ、それでも限界があり、摘便や浣腸を併用することになっているケースが多く見受けられます。ところで、毎日排便にこだわる必要はなく、3日に1度でも出ていれば、まず心配ないように思われます。ただ、腸閉塞を起こしたことがある方のような特別な場合は、そうもいきませんので、医師に必ず確認するようにして下さい。


Q4 薬を一包化する時は、自己負担金がどれくらい必要ですか。
 
 基本的には、処方日数7日ごとに30円(1割負担の方)〜90円(3割負担の方)の自己負担金がかかります。ただし上限があり、57日分以上の場合は一律270円(1割負担の方)〜810円(3割負担の方)です。


Q5 朝、夕、1日2回の飲み薬を朝服用し忘れた場合、昼に服用してもいいですか。
 
 昼までに飲み忘れに気が付いた時は、気が付いた時点で食事に関係なく朝の分をすぐに飲む。もし昼以降に飲み忘れに気が付いた時は、朝の分は飲まないというのが基本です。ただし、薬によっては、この原則が当てはまらない事がありますので、かかりつけの薬局に事前にご相談下さい。


Q6 医師が出した処方箋で薬の量が多いと薬剤師が判断したとき、その量はどのように変更されるのでしょうか。
 
 処方された医師に、薬剤師が疑義照会して、話し合います。そこで、薬の量を決定します。


◆高齢者の口腔ケア


Q1 拘縮が強く、なかなか口が開かない方にはどのように対応すればよいでしょうか。残歯がとがっていて噛まれる危険も高いです。
 
 意識がしっかりされている方ならば「一緒に歯磨きをしましょう。」と歯ブラシを渡して、その方の目の前で磨きましょう。ご自分で磨いている最中に「きれいになってきましたよ。」とほめてあげてください。そして「こっちは磨きにくそうだから磨かせてね。」と言って磨かせてもらってはどうでしょう。
 しっかりされていない方の場合は、手袋をして、その手を温めてから口唇周りをベタベタ触りながら話しかけましょう。注意として、その時は歯ブラシは持たずに。両手で口唇を触って口腔を見せてもらうだけのつもりで接してあげてください。 どちらにしても1回で口腔内すべてきれいにしようと思わず、何回かにわけて最終的に磨ければよい。という気持ちで、余裕を持って接していきましょう。